フラワーアーティスト、東信さん。NY、パリ、ドイツと世界各地での個展の開催、アートパフォーマンスの披露は高い評価を受け、ハイブランドの館内ディスプレイなども手がける、今、その一挙一動が一番気になるアーティストのひとり。また、東京・南青山に注文を受けてから市場へ花を仕入れにいくという、完全オートクチュール制の“花のない花屋” 「JARDINS des FLEURS」を構えることでも知られています。
今回の『WHO’S AT THE BAR』では、「花」「植物」をキーに、アレンジメントの枠を超え、既成概念を打破し続ける東さんの、その刺激的な活動の源に迫ります!

−−まず、ボンベイ・サファイアと東さんには、実はちょっとしたご縁があるんですよね。英国を代表するファッションブランドのひとつ、フレッドペリーが行う期間限定のオンラインキャンペーン『WHY?』に、東さんと同じくボンベイ・サファイアも参加させていただいていて。
東:そうなんですよね。他にもミュージシャンの高橋幸宏さんや、ニールズヤード・レメディーズ、ヘンリーといった英国ブランドが参加して、『Made in England』のこだわりや魅力、フレッドペリーというブランドへのリスペクトをいろんなかたちのコラボレーションで表現していこうという企画なんです。
−−東さんは、そのメイン・キャストという位置づけで、さまざまなコラボレーションをなさっているわけですが。まず強く印象的なのは、やはりあの、月桂樹のマークを模したキャンペーンシンボルですね。
東:はい、やっぱりフレッドペリーと言えばあの“ローレルマーク”なので!あのマークをイメージした、アレンジメント作品を作らせていただきました。葉の一枚一枚をブーケに置き換えて、いろんな草花を使ってフレッドペリーへのオマージュを込めてみたんです。
−−ブーケといっても、花だけじゃなく、サボテンやブロッコリーといった、普通ならブーケには使わないような多種多様な「植物」が使われているところが、非常に東さんらしい作品ですよね。東さんは、世界各国で個展やパフォーマンスなどをなさっておられますが、フラワー・アレンジメントの観点でいうと、“イギリスらしさ”というものはどういうものでしょう?
東:やっぱり、まず感じ入るのはその「奥深さ」ですよね。たとえばガーデニングだとわかりやすいかな、イギリスの庭と一口に言っても、たぶん人それぞれ思い浮かべる庭のスタイルが違うと思うんです。
−−ああ、確かに。「英国式庭園」というと完璧に橋や池まで計算された、まるで絵画のような庭園のイメージがありますが、湖水地方とかになると、自然の草花をそのまま生やすにまかせたような野趣溢れる庭が思い浮かびます。
東:そうそう。伝統と格式が感じられる贅を尽くした貴族的な庭もあれば、田舎風の、自然をそのまま手つかずにしているような、のどかな庭もあるでしょう?そのどちらも“イギリスらしい”。矛盾しているようで、不思議とイギリスではそのどちらもがはまってしまう。その奥深さ、懐の深さ、イギリスという国の凄さはそこにあると、いつも感じます。
−−懐が深い、というのはすごくよくわかります。ファッションやデザインの面でも、イギリスというのは重厚で伝統的な格式を重んじつつも、最先端の流行の発信地でもあり続けていて。
東:そう、発祥の地としての自負をもって、長い歴史に裏打ちされた揺るぎないスタイルを作り上げてきたのもイギリスなら、決して守りに入ることなく、それを斬新なアイデアで打破して壊していくのもまたイギリスなんです。その作り上げるバランス、壊すバランス…あのバランス感覚は、一朝一夕に真似できるものじゃないなっていうのはいつも思うんですが、同時に奮起もさせられる。表現者としてそうありたいと思わされる部分ですよね。
−−そういったイギリスに対する想いが、あのキャンペーン・シンボルのブーケのマークには込められていると。
東:ええ、もちろんです。伝統あるブランドへの敬意と、新しいものも取り入れていくどん欲さ、自由さ。その二つを僕なりに植物で表現したいと思って、あのキャンペーン・シンボルになりました。
−−マークだけでなく、キャンペーンサイトでは他にもいろいろとコラボレーションされた作品が公開されるんですよね?
東:そうですね、僕のアイデアを取り入れてもらった、ポロシャツを作らせていただいたりもしました。糸の染色から植物由来の天然なものを使って、ボタンも木で作った特製のものに替えてもらって。自分も好きでよく着ていたあのポロシャツが、自分の手でアレンジされて新たに生まれていくというのは、本当にわくわくする体験でしたね。
−−今更のように気付くのも遅い気がしますが、そうやって考えてみると、植物というのはファッションにもすごく深く関わっているんですね!
東:ファッションもそうだし、衣食住すべて…毎日の生活の中で、すごくたくさんのものが植物由来で、植物と無関係なものって、ほとんどないといってもいいくらいですよ。そうやって、植物っていうのはいつも僕らの傍にあるんです。それが僕が自分の作品やパフォーマンスを通じて、一番に伝えたいことなんですよね。
長く愛される伝統の裏には、守るだけではなく新しいものを取り入れる自由さ、どん欲さがある。英国のファッションブランドと、気鋭のフラワー・アーティスト、意外な組合せのように思えて、やはりベストなコラボレーションだったと感じ入るお話でした。ボタニカルを使い、最高のジンとは何かを追求してきたボンベイ・サファイアと、同じく植物に携わる東さん、共有できる想いも多くあったように思います。次回の『WHO’S AT THE BAR』では、ボンベイ・サファイアがキャンペーンに出品したコラボレーション・カクテルを飲みながら、植物とお酒の関係について、興味深いお話を伺います。どうぞお楽しみに!
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取材場所:BAR RAGE銀座プラーザ店