今回が二度目のご来店となります、ミュージシャン・ピエール瀧さん。終始笑いの絶えない前回に引き続き、今回は「バーの楽しみ方」について。ピエール瀧流、ユニークなバーの楽しみをお話を伺います。
--ボンベイ・サファイアについて、バーテンダーの方といろいろとお話されていらっしゃいましたが、いつもあんな風に、お店の方に聞いたりとかなさるほうですか?
瀧「しますねー、全然こういうお洒落な方面は詳しくないし、やっぱりその道のプロの話は面白いですからね。『郷に入っては郷に従え』じゃないけど、バーのことなら、バーテンさんがプロフェッショナルなわけだから、まずそのプロの仕事を堪能したいって思うし」
--『郷に入っては郷に従え』と言えば。たとえば若い世代の方なんかだと、こうしたバーには決まったスタイルや、まず守るべきルールやしきたりみたいなのがきっとあるんだろうと思って躊躇してしまうという人も多いようなんですが。
瀧「あー、一見さんお断りで常連が偉い、というような。バーに入るなりバーテンダーとまずアイコンタクトして、カウンターの同じ席座って『今日は遅いですね』『ああ、ちょっと野暮用でね…いつもの頼むよ』的な会話しちゃうのがかっこいい、みたいなイメージ(笑)」
--実際は、バーの方でそんな風にお客さんを選んだりするようなことって無いと思うんですけど(笑)。でもバーに対してそういう「堅苦しそうな場所」という先入観がどうしてもあって、構えてしまうという。
瀧「こっちが想像するほど、向こうはそうは思ってないもんですよね(笑)。いろいろ考えずに、飛び込んじゃえば、バーの方が受け止めてくれると思うけどなあ。そういう懐の深さが、こういうバーにはあると思う。むしろ普通の飲み屋とかよりも。店に来るなり『お任せで』って言って全部任せちゃって大丈夫ってとこあるでしょう?バーテンダーの方もその方がはりきってくれるし」
--リードしてくれる人がいるんだから何も恐がることはない、という。
瀧「うん。逆にそういう人のいる前で、下手に知ったかぶって自分の知識とかこだわりみたいなのをひけらかしたりする方がどうなの?って。そっちのがカッコ悪くねえ?と。なんかこの頃そういう人多くて、結構ウザいんですよ!(笑)」
--そういう知識や蘊蓄も、お酒の楽しみ方のひとつではありますけどね(笑)。
瀧「別に自分で楽しむためにそういうの勉強すんのは全然OKですけどねぇ、人にまで強要されるとホント勘弁してくれって。ワインの銘柄だとか…あと最近だと焼酎。猫も杓子も焼酎焼酎って、やれ芋がいいの米がなんだの…。もうどっちでもいいよそんなの!ほっといてくれ!って本気で思いますからね(笑)。隣にいる女の子に語り倒してイヤーな顔されてるヤツとかよくいますよね。気づけよ!っていう」
--確かに、そういう人よりは「お任せで」ってさらりと言える人のほうがスマートに見えるかもしれない。
瀧「でしょう?酒って、もう何百年、何千年って続いてるようなモノなわけで、そんなものに対して、自分がちょっと何かで読んで知った知識でわかったような気になっちゃうこと自体、勘違い以外のナニモノでもないし」
--知識がなければお酒の美味しさがわからないってこともないですもんね。バーテンダーの方に、今まで飲んだことがないおすすめの一杯を作ってもらうことも、楽しいことだし。
瀧「そうそう。もう、俺としては、歯医者行くのと同じ。ここの歯が悪いから治さなくちゃならない、それにはブリッジとインプラントとあと他にもいろいろありますけどどうしますか?みたいなこと医者に聞かれても、『どっちがいいと思います?』って聞くじゃないですか、普通に。よくわかんないから(笑)。そういうのと同じ感覚です、バーでバーテンダーの方に話聞くっていうのは。プロのが詳しいに決まってるんだから任せようっていう」
--そう考えるとシンプルですね!瀧さんにそうおっしゃっていただいて、「なんだ、バーだからってそんな気負う必要ないんだな」って皆さん思うと思います。
瀧「まあ、何もこのとおりしなくちゃいけないなんてことは全然なくって、好き勝手に自分なりの楽しみ方見つけたらいいってだけのことだと思いますけどね。人と話すの苦手だったら、いろんなバー行って同じカクテル一杯だけ飲んで帰るを繰り返すとか(笑)。とりあえず、こういうサファイア・コリンズみたいなプレーンなもの頼んでね、自分でいろんなバーを飲み比べて微妙な違いをみたりするのも、楽しいと思う。そんなことやってるうちに、自然と場数踏んで、バーそのものにも慣れていっちゃうだろうし」
--酒とは、バーとはかくあるべし、みたいなものは全部とっぱらって。
瀧「それでいいと思いますよ。俺としては、それでずっとやってきて、困った事は何一つないし(笑)。もうね、みんな考えすぎ!あんまり深く考えないでも何とかなるって、実際。酒ってやっぱり、そういう器のでっかいものだと思います、うん!」
無理せず、背伸びせず。自分なりに楽しめばそれでOK。そんなピエール瀧さん流の「バーとの付き合い方」、いかがでしたでしょうか?お酒を飲むということの楽しさ、その原点を思い起こさせてくれるようなお話は、次回もまだまだ続きます。どうぞお楽しみに!