シンガー 野宮真貴さん、二度目のご来店となります。様々なジャンルでめざましいご活躍ですが、「自分の核にあるものは音楽」とおっしゃる野宮さん。今回は、そんな野宮さんと音楽の関わりについてお伺いしました。
--ご自身の音楽活動はもちろん、加えてピチカート・ファイヴ時代の楽曲も再評価されていたり、同世代だけでなく今の若い人たちにも常に支持されているのが本当に凄いことだと。
野宮「そういえば、先日『デトロイト・メタル・シティ』という映画を見たんですけど、冒頭に主人公の部屋のシーンがあって、そこにピチカートのポスターが貼ってあってびっくりしました(笑)。あの映画は面白かったですね、主人公と自分に通じるものがあるというか。私も状況として似ているんです」

--『デトロイト・メタル・シティ』はおしゃれなポップスが好きで本当はそういう音楽をやりたいと思っている主人公が、なぜかヘヴィメタルバンドのボーカル・クラウザーII世としてブレイクしてしまうというお話ですが、その主人公が野宮さんと似ているんですか?
野宮「言うなれば私は“逆クラウザーさん”って感じかな?(笑)。中学の頃から、グラムロックやハードロックばかり聴いていて、自分でも音楽をやりたいってずっと思っていたけれど、自分の声ではロックを表現できないし…って悩んでいて。その後、ニューウェイヴが登場して、ああ、自分にも歌える音楽がやっと出てきた、ってすぐに方向転換。気づいたら渋谷系だったという・・・。」
--映画はスラップスティック・コメディとして描かれていますが、野宮さんとしてはリアルに共感できる設定だったわけですね。
野宮「そう、メイクや衣装で豹変してしまうといった部分とかもね、ああわかるなあって。私もステージに立つ時は、まつげ三枚つけたりしますから(笑)。衣装やメイクによって、歌手「野宮真貴」が誕生する。どこかのスイッチが入ると、人が変わるの(笑)。そうやって変われる自分を自分で楽しんじゃう」
--そういえば4月に行われた野宮さんの『エレガンス中毒』は、そういった演劇的なアプローチのステージだったんですよね。
野宮「自分のソロのステージを敢えて“リサイタル”って呼んでるんですが、去年から始めて今年で二回目。前回は初めてということもあって、ピチカート時代の曲なんかも歌って、いままでの私のイメージも出したポップな雰囲気の内容だったんです。でも今年は新しいことに挑戦しようということで、大人っぽい、シアトリカルなショーにトライしました。衣装は、ドレスキャンプで製作して、何十着と着替えたり、音楽監督は菊池成孔さんにお願いして、新曲も書き下ろしていただきました。曲間に長いセリフがあったり、自分としてもいろいろと新しいことができて、楽しかったですね」
--きっと来年のリサイタルも、良い意味でファンを裏切ってくれるステージになるのでしょうね。野宮さんの、そういった新しいものへチャレンジするパワーといったものはどこから湧いてくるのでしょう?
野宮「私にとって、音楽というものが『常に新しいことを追い求める』こととイコールだからじゃないかな。それは今に始まったことじゃなくて、私の周りの才能あるミュージシャンの先輩方もみんなそうだったから、自然とね。スタンダードな名曲を歌うにしても、若い人たちとコラボレーションする中でも、常に新しい発見があるから面白い。やっぱりそうした『音楽』が自分の核としてあるので、かけ離れて見えるようなことでも、いろいろ挑戦できるんでしょうね」
次回は、“おしゃれ番長”の名をほしいままにする野宮さんの、ハイセンスなファッショントークをお送りする予定です!