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ヴォーカリスト 鈴木雅之さん vol.2
変わりゆく時代、変わらないスピリット

July 16, 2008

ヴォーカリスト 鈴木雅之さん、二度目のご来店となります。「歌は世につれ」という言葉があるように、音楽は時代を如実に反映するバロメーター。音楽をこよなく愛し、歌い続ける鈴木さんの目には、今の時代、今の音楽はどんなふうに映っているのか、お伺いしました。

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--インターネットや携帯電話の登場で、今、音楽の聴き方、在り方みたいなものまで昔とはがらりと変わってしまった感がありますが。
鈴木:そうだね。俺なんかの世代は「レコード買う」っていったら、人生に関わる大事だってくらいのことだったからね。少ない小遣いをきりつめて貯めて、やっとのことで買いに行って。凄い勇気がいることだったし、買ったら買ったで、まるで宝物手に入れた!ってぐらいの騒ぎだったから(笑)、そういうことを思えば、今の状況は隔世の感はあるよね。

--鈴木さんは、そういった今の音楽状況をどのようにとらえていらっしゃるんでしょう?ご自身が音楽を続けていく上でも難しいとお感じになっておられるんでしょうか。
鈴木:まず「今の音楽」「昔の音楽」って分ける考えがあんまり無いよね。もちろんね、そういう「イージーに手に入ってすぐにリセットできる」って状況はどうなんだろう?って思う気持ちがないわけじゃない。でも、必死な思いでレコードを買った俺たちと同じ経験をしていないからといって、「今」「昔」ってくくっちゃうのもどうかと思う。お互いがまったく理解しあえないかといえば、俺はそんなことは無いと思うよ。手軽に素敵な音楽にアクセスできるようになったことは、基本的にウェルカムだしね。

--レコードが無くなったのは若いリスナーのせいではないわけですしね。
鈴木:うん。逆に言えばね、もしそういう時代の移り変わりの中で、失われたり、手に入りにくくなっているものがあるとするなら、それを知っている側が伝えていかないとさ。レコードを買う時の気持ち、買ったレコードに初めて針を落とす時のあの気持ち、好きな曲を宝物のように愛する気持ち。そういう気持ちを知ってる自分が作る音楽は、そういう気持ちをも伝えるものでありたい。俺はさ、音楽って“神様からのギフト”だって思ってるから。神様がくれたものを受け取って、それをみんなに伝えているという気持ちで歌ってるから。

--聴き方は変わっても、根本的な音楽の本質は変わらないということですね。
鈴木:まあ、そんな大げさなことでなくていいんだけどね(笑)。俺が音楽で伝えたいことっていうのは、本当にシンプルなことなんだ。前に「恋愛も遊びも“想像力”」って言ったことと重なるけど、たとえばさ、ある曲を聴いて「そういや、あの時のあの子、どうしてるかな。元気かな」とかって思う時あるじゃない?俺が音楽でリスナーに届けたいのは、そういう「優しい気持ち」なんだよね。日頃は忘れてたかもしれないけど、音楽を聴いたことで、「自分以外の誰かの存在」をふっと思い浮かべる瞬間。それは今の時代がどうだとか、携帯だからどうだとか、そんなこととは関係が無いんだ。

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--いいお話ですね。ああ、そうだなって、すごく実感できます。では逆に、鈴木さんと同世代の人たちには何かお感じになられることがありますか?
鈴木:すごく人生楽しんでる人が多くなってきたなって、個人的には感じるね。昔、二十歳そこそこの時に「ブラックミュージックの生まれた場所に行ってみよう」ってアメリカに行ったことがあるんだけど。やっぱり50代くらいの夫婦がね、普通にライブハウスに来て楽しんでる姿を見て、「ああいいな」って思ったんだよね。毎日の生活の中に、普通にいつでも音楽が流れてる、そんな雰囲気。今、日本もそんな感じになってきてると思う。

--子育てが終わったり、自由にいろいろと楽しめるようになったというような年代ですしね。
鈴木:そういえば、最近俺のライブにも親子で来てくれるファンもいてね。自分の音楽がそういうふうにも届いてるんだと思うと、嬉しいんだよね。年齢関係なく、そうやって同じ物を楽しんでるというのも、見ていて微笑ましいというかね。絆を感じるじゃない。

--そういった方達は、鈴木さんが歌うラブソングを聴いて、恋愛についても語り合っていたりするんでしょうか。自分からするとなかなか考えにくいので(笑)、本当に時代が変わったなあなんて思ってしまいますが。
鈴木:どうだろうね。あ、でもね。俺が歌うラブソングは、全部本気で嘘はないから!おすすめできないような恋愛は歌っていないという自負はあるよね。ラブソングは「疑似恋愛」とはいえ、自分もこの歳になるまでいろんな経験してきて、そういう中で自分が納得できないものだったり、信じ切れないものは、やっぱり歌えないから。ハッピーなだけじゃない、悲しい恋だったり恋のせつなさを歌うこともあるけど、そういうこともね、恋がくれる大切なものだから。

音楽を聴くことで、みんなにやさしい気持ちになってほしい。それこそが音楽の役割だと語る鈴木さんのお話、いかがでしたでしょうか。次回は、鈴木さんのオフタイムについてのお話をおうかがいします。

取材場所:BAR RAGE


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