今夜のお客様はファッションデザイナーの信國太志さん。アヴァンギャルドかつノーブルな作品で、多くのファンを魅了してきました。最初にお伺いするのはもちろん、気になるブランドリニューアルのお話です。
--今シーズンから、ご自身のブランド「TAISHI NOBUKUNI」を「BOTANIKA/taishi nobukuni」へとリニューアルされました。どのようなコンセプトなのでしょうか。
信國:ボタニカとは植物のことです。よく言われるロハスやエコとはまた違う、着る人が植物からの癒しや力を感じられる服を作りたいと思ったんです。化学薬品を使わないオーガニックコットンを中心に、できる限り天然の素材を選んでいます。

--信國さんの尖ったイメージからは意外でもあるのですが、植物にこだわるようになったのはなぜですか?
信國:大きなきっかけになったのが、3年前に経験したネイティブアメリカン、ラコタ族の儀式です。終わった後に職業を聞かれて、「洋服を作ってる」と答えると、「服は人を癒すもの。服を作る前に、素材の上に手を置いてエネルギーを感じなさい」と言われて、すごく心に残ったんです。
--発表されたコレクションを見ると、デザインは一般的にイメージされるオーガニック路線とはまったく異なりますね。
信國:植物が持つ力を伝えるために、デザイン性を高めたというか、素材がオーガニックだったりナチュラルだったりするからこそ、シャープなデザインを目指したんです。
--今、デザイン面で信國さんに刺激を与えるものと言えば?
信國:今興味があるのは建築です。それもすごく若い人たちの作品。モダン建築の整理されたデザインではなく、アメリカの設計事務所であるモルフォシスなんかの理性からかけ離れたようなデザインの流れがあって、そういう要素を洋服にも取り入れたいと思っています。
--ヨガもされるそうですが、やはり作品への影響はありますか?
信國:仕事に限らず、影響はすごく大きいですね。ヨガのようなメタフィジカルなことに没頭すると、物質的ではないものを重視する時期がきます。それを過ぎると「ヨガ=物質的なものから離れる」という概念からも自由になって、じゃあ今どんなカタチが世の中にあるんだろうと、濁りのない目でモノを見ることができる。今話した建築デザインも、そうやって辿り着いたんです。

--物質から一度離れて、フラットな視点になってもう一度物質と向き合うということですね。
信國:そうですね。あとは、非個人的なところに意識が向くようになったのも、ヨガの影響です。以前は、たとえば男の子たちの屈折した気持ちを、分かりやすく言うとロック的な雰囲気で表現していました。今は個人が内側に持つ屈折感ではなく、もっと多くの人が感じられる気持ちよさの方を、上手に表現したいと思っています。
--なるほど、それもあって素材にこだわっているんですね。
信國:でも表現を伝える相手は以前と変わりません。もちろん屈折している人だって、たくさんいると思うから、デザインまでオーガニックでは伝わらない。だから素材とは対極にあるものを、あえてデザインとして取り入れたんです。
次回はファッションデザイナーを目指すきっかけや、デザインで表現したい究極の理想について語っていただきます。