英語に「haven」(ヘイヴン=「安息の地、避難所」)という言葉がある。うっかり「heaven」(ヘヴン=「天国、極楽」)と読み違えてしまう人もいるが、六本木のBar HYGGEを語るうえでは、そのどちらもが言い得て妙であるから面白い。実際、ここは六本木の喧噪からひとときの間、身を隠しおおせるための「避難所」であり、また心和ませる雰囲気のもと、心ゆくまで美酒に酔いしれることのできる、地上7階の「極楽」でもあるのだ。

Bar HYGGEがあるのは、六本木交差点から100歩と離れていない、まさに都心中の都心の立地。週末ともなれば、それこそ朝まで人通りの絶えることがない。
エキサイティングな六本木もいい、だが、今宵は大切な人と、心愉しき時間の流れる別世界に身を置きたい――そう願うときには、ざわめく街の喧噪を背に、エレベーターに乗り込もう。ドアが開いた瞬間、そこから始まるのは、このうえないhygge(ヒュッゲ=デンマーク語で「心地よい、温かな雰囲気」)な時間。大谷石と木を用いた設えには、どこか巨匠建築家フランク・ロイド・ライトの意匠を彷彿させるものがある。実際、シンボリックに置かれたフロアスタンドも、ライトがデザインしたもの。歴代大統領が逗留したアリゾナ・ビルトモア・ホテルや、海外のVIPを迎えた旧帝国ホテルなど、かつてライトが設計したホテルのバーもかくやといった雰囲気が醸し出されている。
カウンター席とソファー席を合わせて、席数は20ばかり。先ほどホテルのたとえを持ち出したが、客層もホテルのラウンジに似て、さまざまな世代のさまざまな人種からなる。時折の笑い声にまじって聞こえてくる、いくつかの外国語。それも、いかにも六本木らしい。
カウンター越しで、巧みなシェイカー捌きを見せるのは、坂井祐輔店長。本場ロンドンでミクソロジーを学んだバックグラウンドを持つほか、前職がパティシエという、本流も亜流も弁えた人物である。従って、こしらえるカクテルも幅が広い。
「ボンベイ・サファイア・コリンズやモヒートが、うちでは定番になっていますが、フレッシュフルーツを使ったカクテルや、オリジナルのデザートカクテルもお試しください。レアチーズケーキやアップルパイ、ティラミスなど、ちょっとよそでは味わえないものをおつくりいたします」
●BAR DATA:
Bar HYGGE
東京都港区六本木4-10-6 AX ROPPONGI 7F
OPEN 18:00 /CLOSE 28:00(ラストオーダー27:30)
無休