どれほどの美酒があろうとも、グラスがなければそれを味わうことはできない。ボンベイ・サファイアの、グラス対する並々ならぬこだわりを感じるたびに、この当たり前のことを思い知らされる。
当初から、積極的に“グラスデザイン”の世界とコミットしてきたボンベイ・サファイア。2001年には「ボンベイ・サファイア財団」を設立、世界最大といわれるガラス工芸アワード「BOMBAY SAPPHIRE PRIZE」、デザイン界の明日を担う学生たちを対象にした「Designer Glass Competition」など、優れたコンテンポラリー・デザインを支援・奨励しデザイン界の発展に力を注いできたことは広く知られていることだろう。
また、財団にはその趣旨に賛同した多くのデザイナー、アーティストたちが名を連ね、ボンベイ・サファイアをテーマに惜しみなくその才能を注いだ素晴らしい作品を生み出している。カクテルにグラスが不可欠ならば、グラスもまたカクテルなくして存在意義はない。企業のプロモーションや広告キャンペーンの一環としてではなく、デザインの未来を共に形作っていこうという「ボンベイ・サファイア財団」と一流デザイナーたちのコラボレーションは、それぞれの業界のみならず広く世界に影響を与えるものとなっているのだ。今回お伝えする「BOMBAY SAPPHIRE COLLECTION OF DESIGNER COCKTAILS」もまた、そうした財団の活動のひとつである。2000年に発表されたカリム・ラシッド作の『Fine Form』を皮切りに、数々生み出されてきたボンベイ・サファイアオリジナルのマティーニ・グラス。
そのグラスにもっとも相応しいカクテルを、カリム・ラシッド、マルセル・ワンダース、トム・ディクソンら、オリジナルグラスを作ったアーティスト自ら“デザイン”するという試みなのだ。加えて、ファッションデザイナーのニコル・ファリ、アーティスティックで実験的なデザインで知られるプロダクト・デザイナーのロン・アラッドなども参加。カクテルを愛する者にもデザインを愛する者にとっても、心躍る企画である。世界のデザインを牽引する一流デザイナーたちは一体どのようなカクテルをプロデュースするのか?
まずはカリム・ラシッドとマルセル・ワンダースの解答をご紹介しよう。
◆KARTINI―カリム・ラシッド―
食器からハイファッション、果ては自身でCDプロデュースまでこなすカリム・ラシッド。ビビッドな色遣いやポップなデザインで世界中を席巻する彼だが、彼のデザインした
ボンベイ・サファイアオリジナルマティーニグラス『Fine Form』は、洗練されたエレガントに満ち、彼の表現がそのポップさだけに留まらないことを知らしめた。
そんな彼が、今回生み出したカクテル『KARTINI』は、フルーツをベースにした鮮やかで情熱的な赤が印象的。グラスを支えるだけでなくオリーブやフルーツを刺す役目も果たす特徴的なクロム製のステムにはラズベリーが鎮座し、グラスのふちにはレモンやスイカのピースも飾られ、舌だけでなく視覚的にも心楽しくなるカクテルである。「機能性を追求した末にたどり着いた、あまりにも完成されたマティーニグラス」と絶賛されたカリム・ラシッドの『Fine Form』だが、このカクテルを知ると、彼の考える究極のデザインとは、まず人をハッピーにするもの、というシンプルで純粋な想いが伝わってくるようだ。
<レシピ>
ボンベイ・サファイア 25ml,マルティニ ビター 20ml,マルティニ ドライ 20ml,クレーム ド カシス 10ml
<作り方> カクテルシェーカーを3/4までクラッシュアイスで満たす。すべての材料をシェーカーに入れ、60秒おく。シェイクしてよく冷えたマティーニグラスに注ぐ。ラズベリーとレモン、スイカで飾り付けをする。
◆SAPPHIRE WANDERS―マルセル・ワンダース―
2002年に発表されたマルセル・ワンダースのグラスは、独楽のように本来ステムの部分にあたる軸を中心に回転するというデザインで世界中を驚かせた。そんな彼のデザインしたカクテルは、偶然にもカリム・ラシッドと同じラズベリーをモチーフにしたカクテルである。しかし、ひとたび口にすれば両者の趣はがらりと違う。そもそも10種のボタニカルによる芳醇な香りが特徴とされるボンベイ・サファイアに、さらに香り高いローズマリーをつけこむというアイデアによって、ボンベイ・サファイアは新しい個性をまたひとつ獲得した。固定観念にとらわれない斬新な発想、まさに彼の追い求める“驚き”がここでも見事に花開いている。
<レシピ>
ボンベイ・サファイア(ローズマリーをつけこんだもの) 45ml,フレッシュレモンジュース 22ml,ガムシロップ 15ml,ラズベリーリキュール 15ml,ラズベリー 6~8個
<作り方>
ミキシンググラスにラズベリーを入れ、シェイクしたほかの材料とともに混ぜる。
漉しながらグラスに注ぎいれ、ラズベリーやローズマリーの葉で飾る。
次回は引き続き、トム・ディクソン、ニコル・ファリ、ロン・アラッドのデザインしたカクテルをご紹介したい。