バタフライスツール
ふたつの合板を組み合わせるだけで、充分な強度を持った椅子になるという驚き。蝶が羽ばたくような軽やかなフォルムに、色褪せない詩情がある。合板の木目と、滑らかなカーブも美しい。「バタフライスツール」は、日本モダニズムデザインの記念碑的作品だ。
1915年生まれの柳宗理さんは、戦後の日本人デザイナーの草分けであり、現在もデザイン界に多大な影響を与えているトップランナーだ。1957年、ミラノ・トリエンナーレに招待出品したこのバタフライスツールが金賞を受賞し、パリのルーブル美術館やニューヨークの近代美術館などに収蔵されて世界的な名声を確固たるものにした。今から50年前の話である。
柳さんのデザインには、ユニークな形態と実用性をしっかりと兼ね備えたものが多い。たくさんの模型を作ってデザインを進める手法は、「手遊びのデザイン」としてよく知られている。このバタフライスツールも、後年の民芸運動につながる手のぬくもりと、都会的なモダニズムとが見事に同居した作品である。
独特なフォルムは、ごく薄く切りだした板を重ねて貼りあわせ、プレスと加熱で形をつくりあげる「成形合板」の技術によるもの。成形合板の魅力は、無垢材では表現できない曲面を生み出すことができる点である。使いやすく丈夫だが、製作には高度な職人技と長年の工夫が必要とされる。日本における成形合板加工のリーダーが、山形県にある天童木工だ。
チャールズ・イームズが使用して広まった成形合板の素晴らしさを知った柳さんは、後に天童木工に入社する乾三郎さんとの出会いに導かれてこの椅子をデザインした。近年、成形合板は木材資源の有効な活用法として再び脚光を浴びている。素材もデザインも、古びていない。発売から半世紀を越えてなお、未来を感じさせてくれる家具の名品なのである。
バタフライスツール
デザイン:柳 宗理
製造:天童木工
サイズ:W425×D310×H387×SH340mm
価格:40,950円(税込)
表面材:ローズウッド板目(S-0521)
販売サイト:http://www.rakuten.co.jp/tendo/