学生デザイナーからの一般公募を募るマティーニグラスのデザインコンペティション「Designer Glass Competition~The Art of Martini Glass」。毎年、多くの応募作品の中から、秀逸な5作品が選ばれる、マティーニグラスの祭典だ。
今年もまた、斬新なデザインと世界観をもったファイナリストが選出された。
2008年度のファイナリストは、この5名。
●タイトル:『TuTumu』

作者:大池 史門 (愛知淑徳大学大学院 現代社会専攻 2年)
マティーニグラスの支柱部分を取り除き、側面をぐるりと囲むことで生まれる、「内部空間」がこのグラスの特徴。外観はマティーニグラスではなく、普通のグラスに見える。しかし、その内部空間に花や草木、小物などを入れて自らを彩ることで、マティーニをより美しく演出するのだ。注がれたボンベイ・サファイアの向こう側に、今までにはない新たな世界を見ることになるだろう。
●タイトル:『Pierce』

作者:鈴木 彩加 (京都市立芸術大学 プロダクトデザイン専攻 3年)
作品タイトルの「Pierce(ピアス)」は、“穴をあける”こと。このグラスは、大胆にグラスに穴が空いている。その穴に通されるのは、マドラー。グラスに通すことで、置き場所に困るマドラーが「立体コースター」に早変わりするという設計になっている。
お酒を楽しむ時間を、単に「飲む」行為ではなく、「頂く」行為とするかのように、グラスは立体コースターの“頂き”に君臨するのだ。
●タイトル:『MASU』

作者:望月 未来 (愛知教育大学 造形文化コース 3年)
一言で述べるなら、「枡のガラス版」。日本酒の器などに昔から用いられている、木製の枡をそのままガラスで再現した作品だ。実は、枡というのは、寸分の違いもなく交互に組み込まれた側面が大変芸術的なのだが、木製ではその細部までもを見ることは難しい。しかし、透明なガラスでつくることにより、その意外なまでの美しさを目で感じることができるのだ。マティーニをよりいっそう美しくひきたてるグラスなのではないか。
●タイトル:『KOTO』

作者:西村 加奈 (京都工芸繊維大学院 デザイン科学専攻 1年)
柄杓をグラスとして表現したのがこの作品。柄杓を置く音、そしてその時の「一区切り」つく気持ち、澄み切った感覚を形にしている。一口一口を大切に味わえることのできるこのデザインは、扱う人間の所作に結びついた、酒を飲む新しいスタイルを提案している。
●タイトル:『amorous trace』
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作者:庭本 卓実 (工学院大学 建築学専攻 修士2年)
「わざと」安定しないようにつくられたこのグラスは、カウンターに置くと、ゆっくりと弧を描くように設計されている。その動きが、時を楽しむための動き。その不安定な動きこそが「繊細さ」、そしてボンベイ・サファイアの女性的な美しさを連想させる。グラスの中でゆるやかに傾くボンベイ・サファイアを眺めて過ごすのは至福ではないだろうか。
いずれも甲乙付けがたい素晴らしい作品が揃った。
これらの中からさらに2008年グランプリとして、どれが選ばれるのか。
非常に楽しみだ。